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ビッグブラウン、規格外の勝利/Kダービー

現地時間5月3日、米ケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場で米牡馬三冠の第一関門であるG1ケンタッキーダービー(3歳、ダ10F、20頭)が行われ、1番人気のビッグブラウン Big Brown(牡3、R.デュトローJr.厩舎、K.デザーモ騎手)が優勝した。勝ち時計は2分1秒82、馬場状態は Fast(速)だった。
G1ケンタッキーダービーの枠順は二段階のプロセスによって決定される。まず、抽選によって「各出走馬が希望枠を選べる順位」を決定。そして、その上位馬から希望の枠を選んでいく、という仕組みになっている。
G1フロリダダービーを逃げ切り、1番人気が確実視されていたビッグブラウンの順位は20頭中16番目で、その時点で残っていた枠は、1、2、18、19、20だった。その中から、陣営は大外の「20」をチョイス。この判断は驚きを持って迎えられた。
多頭数で争われるケンタッキーダービーでは外枠不利が常識。これまで17番より外枠の発走(17番枠含む)の優勝馬は、1929年のクライドファンデューセン Clyde Van Dusen(20番、21頭立て、当時はスターティングゲート導入前)、1982年のガトデルソル Gato Del Sol(18番、19頭立て)の2頭しかいなかった。
その理由について、リチャード・デュトローJr.師(今回がG1ケンタッキーダービー初挑戦だった)は「たとえ18番か19番でも、ゲートがさほど速い馬ではないから、他馬に進路を塞がれるかもしれない。むしろ大外がベスト。いいスタートを切って、外から好位に取り付きたい」としていた。
レースは師の言葉通りの展開になった。スタート自体はそれほど速くなかったビッグブラウンだが、激化する先陣争いを内に見遣りながら徐々にポジションを上げ、最初のコーナーでは外の5~6番手という注文通りのポジションにつけた。
そのまま終始4頭分ほど外を回り、最終コーナーからマクリ気味に進出。先行馬をまとめて飲み込むと、直線入口で堂々と先頭に。後続からはただ一頭参戦した牝馬のエイトベルズ Eight Belles が懸命に伸びたが、その差は開く一方。最後は4-3/4馬身差で、ビッグブラウンがケンタッキーダービー馬の栄誉に浴した。
勝ったビッグブラウンは、父バウンダリー Boundary、母ミエン Mien(母の父ヌレエフ Nureyev)という血統の米国産馬で、通算4戦4勝(うちG1・2勝)。キャリア3戦以下でのG1ケンタッキーダービー制覇は、1915年のリグレット Regret 以来となる93年ぶりの快挙だった。
ビッグブラウンは2冠目のG1プリークネスS(5/17、ピムリコ、9.5F)に向かうが、他のG1ケンタッキーダービー出走馬は、5着のリキャプチャーザグローリー Recapturetheglory を除いて軒並みG1プリークネスSを回避する模様で、ビッグブラウンの2冠は確実と見る向きが広がっている。
なお、今回2着に入ったエイトベルズは入線後に故障を発症、安楽死処分となった。今回、牡馬に混じって懸命な頑張りを見せた牝馬を襲ったこの“悲劇”をきっかけに、安全性確保についての議論が活発化。オールウェザー馬場への転換加速、ムチの使用制限、鎮痛剤やステロイド系の薬物規制など、各方面からさまざまな意見が挙がっている。


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